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Plasma Rise

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SPECIAL INTERVIEW  松田稔

「作るからには、世の中にない本物を創る」。

―サンラインとの出会いについて教えてください

松田:ああ、あれなあ・・・35年か、そのもうちょっと前か。その時は鮎釣りをしよって。サンラインはあんまり知らんかったんやけど、鮎の糸があったんよ、ナイロンの。徳島の店で買って使うたんやけど、水を吸収せんで強かったんよ。それからもう、その糸しかもう買わんようになった。
 当時はテスターなんかなりとうない!って言ったんやけど、大量の箱が送られてきたんよ。ええ根性しとるな(笑)わしを雇うなら、日本一になる覚悟がないとせんと言って、テスターになった。
 サンラインは、勤める人間にしても何にしても、“人間味”があっていい会社やと思う。こう、思いやりっちゅうんかな、あると思うよ。最初、子供が「お父さんが勤めとったけん勤めたい」と思う会社にせないかん、て言うとったんよ。そういう会社になったと思う。

―サンラインの “ものづくり” とは?

松田:昔、サンラインはよそから糸を買って加工したりして、自分で作ってなかったんよ。自分で作らないとだめという条件つきで、そこから努力して、自分で糸を作れるようになった。サンラインなんてメーカー誰も知らん時代やったからな。作るからには、世の中にないもんを創る。ゼロからのスタートやったんよ。工場にも行って工程を見て、ああせいこうせい、とか色々やったな。
 糸は工場だけで測ってもあかんねん。使って強くないと。ひとつの糸を出して、ひとりの信用を得るのに10年20年掛かっても、釣りでボロ出したら終わりやけんな。なんぼ機械で測ってもあかん。釣り人が楽になるんを考えて作るんがメーカーやけんな。わしはそう思うで。釣り人が楽になる、釣りのために創ってある、それが本物。

「ハリスで道糸を創れ」。
「風が吹いても、ティッシュペーパーは飛ばんやろ」。

―当初、『松田スペシャル』は、どんな糸だったのでしょうか?

松田:道糸を作ろうってなって、もともとなかったけんな。ハリスは強かったからな、ハリスで道糸を創れと。それが最初の松田スペシャルなんよ。ハリスで道糸を創るというのが初めてやった。東北とか行ったら-6℃とかなるやん、糸凍るんよ、硬くに。電気屋しとったけん、電線って硬いと張れんけん、そのアイデアからソフトとハードの2つをつくったんよ。

―師匠の“理想の道糸”とは、どんな糸でしょうか?

松田:風が吹いても、ティッシュペーパーは飛ばんやろ、ピシャっとして。ああいう状態にする。水にポンと置いたら、吸水して水面下10cmくらいで止まったらええ。風に吹かれてもふられんだろ。それを目指しとったんよ、最初から。
 昔作ったんよ、表面の樹脂加工だけで。そしたら、白っぽくなるんや、やっぱりな。ええんやけど、売れへんねんな(笑)。白っぽくなるけん弱いと思われて。違うと言うとんやけども。ほんでも、なんぼええもん作っても売れんかったらええもんちゃうけんな。ほんとはな、できるんやけどな、今はもう。
 PEなんか絶対あかんから、滑るけん。それと、あんまり伸びない糸は人間のミスをカバーしてくれん。やけん、道糸はやっぱりナイロンがええ。それはようわかっとる。

―師匠の“理想のハリス”とは、どんな糸でしょうか?

松田:ハリスはな、一番は根ズレやけん。根ズレで強くないといかん。ほんで、結束でも強ないといかん。(結束の強度は直線よりも)落ちるのは、わかっとるからな。
 最初はナイロンから始まったんやけど、どうしてもコーティングせんと、ヒラメとかエソやったら簡単に切れるんよな。それで、カーボンを目指した。カーボンよりナイロンの方が強いんよ、ほんまは。けど傷に弱いやろ。それで、中をナイロンに、縁をカーボンにしてみたけど、ナイロンとカーボンでは融点が違うんよ。中と縁で伸び縮みが違うけん、あかんくて、諦めたんよ。

「今度のは、理想に近いな。
 あれは・・・ほんまに近いと思う」。

―プラズマライズのプロトタイプについて、フィールドテストでの感想を教えてください

松田:新しいハリス(プロトタイプ)はザラザラでも上がってきとるやろう。前のはザラザラになる前に飛ぶ(切れる)けん、もうわからん。去年ヒラマサでも使ったけどザラザラでも上がってきとるやろう。ああいう糸でないといかん、実際はな。やっぱり、機械でなんぼ測ってもあかん。それはもうサンラインはできとる。  擦れに一番強いのはゴムなんよ。ゴム、強いやろ?切れにくいやろ?表面に“ゴム”みたいなんを薄くに作るんや、プラズマで。ほんで、結束も強くなるからな、間違いなく。直線に近い状態に持っていけるかもわからん。もっともっと強くなる。

松田:簡単に言うたらな、糸に雷を落とすんよ、バーン!と。意味わかります?(笑)あれは紙に書いても説明はしにくいけどな、分子引っこ抜いて入れてくんやけん。それが今やっとプラズマでできるようになったからな。だから、コーティングやないんよな。かなり違うと思うよ、あれは。ずっと前から、一番表面が“ゴム”みたいなんが傷入らんのはわかっとるんやけど、前はできんかったからな。
 今度のは、理想に近いな。あれは…ほんまに近いと思う。
 昔から、わしらだけの頭じゃいかんけん、(釣りとものづくりの)コラボやったらええもんできるけんな。そりゃあ頭ええもん、東京工大やぞ(笑)。素晴らしいやろ。

―最後に、師匠の夢を教えてください

松田:夢?!夢は寝てみるもんじゃ!覚めたら終わりやんけ!(笑)
でももう、自分の描いとった夢に、ほぼ近づいていきよる。今やっとるプラズマっちゅうもんが素晴らしいんだと思う。もっとええもんができる、間違いなしに。

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